地元を離れてから10年以上の歳月を経て、彼は「桜井誠」として生まれ変わる。
私は東京の下町にある桜井のアパートへ何度も通ったが、いつ訪ねても彼の姿はない。しかたなく、11月7日に名古屋で開催された桜井の講演会に足を運ぶことにした。
講演会場へ早めに到着し、パソコンをいじっていた桜井に私は挨拶した。ところが、桜井は私の顔を見るなり激昂したのである。
「あなたねえ、私の親族まで取材したでしょう。あなたの取材は受けない。出ていってくれ」
何を話しかけても桜井は応えない。私は気になってしかたのなかった桜井の「本業」についてだけ、早口で質問した。
―『ニューヨークタイムズ』の取材では、桜井さんは自身の本業を「税理士」だと答えていますね。それは本当ですか?
桜井は「そんなこと答えた覚えはない」とだけ吐き捨てるように返答した。そして私と目を合わせることもなく、そばにいた若い会員たちに「これ、叩き出して!」と命じたのだった。
桜井の命令は絶対である。会員たちは自らの身体をぐいぐいと私に押し付け、私を無理やり部屋から排除した。そして、その後、おこなわれた講演において、桜井は「私は安田という男に殺されるかもしれない。しかし、私が死んでも後に続く者が必ず出るはずだ!」と語った。
大げさな男である。
椅子に座ったまま、「叩き出して!」と年下の会員たちに命じた桜井を見た瞬間、私はこの男に失望した。日頃から「立ち上がれ」「覚悟を持て」と会員たちをけしかけている桜井自身は、なぜ自らの手で私を排除しなかったのか。
私は在特会の会員たちを取材しながら、彼ら彼女らの唱える主張の大部分に賛同はできなかった。なにがあろうと排除の論理は息苦しい。在日は生活保護が優先的に支給されるとか、在日は優遇されているとか、本気で考えているとすれば、どうかしている。1万人近くも会員がいながら、一人として厚生労働省などで確認作業する者はいないのか。特別永住者資格にせよ、それが本当に特権と呼べるものなのか。




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Reply #11 on : 2012/05/16 07:21:01
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